転職サイトはただ掲載されている求人を閲覧して応募する、あるいはエージェントに相談して求人を紹介してもらうためだけにあるものではありません。
近年では転職サイトに登録することでスカウトも受けられるようになりました。
上手に利用すれば理想的な待遇で採用してもらえる可能性もあるので最大限に活用できるようになりましょう。
目次
スカウトとは一体どんなものなのか
転職サイトで利用できるスカウトとはどのようなものなのでしょうか。
まずは簡単に仕組みを理解しておきましょう。
スカウトは求人のオファーをもらうこと
一般的には転職するときには企業からの求人を探して応募することにより面接などの試験を受けて採用の可否を判定してもらいます。
それに対してスカウトは人や企業から直接求人のオファーをもらうシステムです。
転職したいと考えている人が自分の経歴を公開し、その公開情報を見た人や企業が欲しい人材だと考えるとオファーをかけられるようになっています。
転職サイトでは経歴情報の公開や閲覧の場を提供すると同時に、オファーをかけたり、それに返答したりするやり取りを仲介する役割を果たしてくれるのが通例です。
大まかに分けると二通りのスカウトがある
スカウトは誰が主体になるかによって大まかに二通りに分けることができます。
一つは転職業界で活躍しているヘッドハンターによるスカウトです。
そして、もう一つは人材採用を行っている企業から直接受けられるスカウトです。
この二つにどのような違いがあるのかを確認しておきましょう。
ヘッドハンターによるスカウト
ヘッドハンターからスカウトを受けた場合には、通常はこの求人はいかがですかという形で一つか二つの求人の紹介をすると同時にスカウトのオファーがかけられます。
ヘッドハンターの目から見て、その求人で募集されている人材として適切な経歴を持っていると判断してもらえたと言えるでしょう。
そのため、そのオファーを受けて求人に応募すると適材適所で働ける可能性が高く、過去の経験を生かした働き方ができるのが一般的です。
ただし、そのオファーを直接受ける必要はなく、求人の内容が希望しているものでなければそのヘッドハンターと相談しながら別の応募先を探すこともできます。
優秀なヘッドハンターを探すという目的でも使えるスカウトです。
採用企業によるスカウト
採用企業から直接受けられるスカウトの場合には、その企業に応募するという選択肢以外にはありません。
しかし、直接オファーをかけるくらいなのでかなり採用する意志が強く、応募すればかなりの確率で採用してもらうことができます。
条件なども一般的な水準より高めになっていることが多く、転職後に従事する仕事の内容も明確に定まっているのが通常です。
広く人材を募集している場合にはオファーをかけられた職種や部署とは異なるものを希望できる場合もあります。
しかし、一般的には企業側が適所だと考えた職種や部署に限定されてしまい、なかなか仕事の内容について交渉が通用しないのが典型的です。
スカウトを受けるにはどうしたら良いか
スカウトを利用してみたいと思ったときにはどのような手続きをしたら良いのでしょうか。
自分で宣伝広告を出してスカウトを待つこともできますが、ヘッドハンターや企業が個人の宣伝広告に目を向けてくれることはあまりありません。
転職サイトに登録することがまず必要だと考えるのが無難でしょう。
ただし、登録を済ませただけではスカウトを受けられないこともよくあるので注意が必要です。
経歴をアップロードしよう
スカウトを募集するためには経歴をアップロードして公開することが必須です。
ウェブ上に履歴書や職務経歴書をアップロードするか、専用のウェブフォームに入力するシステムになっている転職サイトがほとんどです。
入力した内容は求人に応募するときに使うのがメインの場合もありますが、その情報の全部または一部を公開することでスカウトを募集できる仕組みのサイトが多くなりました。
希望しない場合にはスカウトを募集しないこともでき、マイページなどから設定を変更することができます。
転職サイトへの登録の際に、スカウトを受けたいかどうかを確認されることもあるので、スカウトを募集する意向を伝えておけば簡単でしょう。
エージェントに相談してみよう
転職サイトに登録しても特にスカウト機能がなさそうに見える場合もあります。
どの転職サイトでもスカウト募集をかけられる仕組みになっているわけではないので、もしかするとその転職サイトではスカウトを受けられないかもしれません。
しかし、ウェブサイト上ではスカウトに関して一切の記述がなくても、エージェントを介してスカウトを受けられる転職サイトもあります。
自分の経歴を使ってスカウトを募集したいということをエージェントに伝えてみましょう。
その転職サイトでは扱っていなくても、同じ系列の会社が行っているスカウト事業の方に情報を転送してもらい、スカウトをかけられることもあります。
まずはエージェントに率直に話を切り出してみるのが大切です。
スカウト募集をするとどうなるか
登録を済ませてスカウトの募集をかけるとどのようになるのでしょうか。
魅力的なオファーが次々にやってきて引く手数多になるのを想像する人もいるかもしれません。
あるいは全然オファーが来なくてスカウトシステムが機能していないのではないかと思う人もいるでしょう。
スカウト募集の実態についても知っておくことが大切です。
サイトによって傾向が異なる
実はスカウトの実態は転職サイトによってかなり傾向が異なります。
あらゆる職種の求人を扱っている一般的な大手の転職サイトや、特定の分野に限って求人を集めている専門分野の転職サイト、そしてハイクラス向けの転職サイトの三つに分類してみると大まかにスカウトの状況の違いがわかるでしょう。
一般的な転職サイトの場合
一般的な転職サイトでは自動配信によるスカウトメールがたくさん届くことがよくあります。
履歴書を登録すると、条件にマッチしている人には自動的にスカウトメールが配信される仕組みになっていることが多いのです。
このスカウトメールの多くは、特に人材を広く募集している企業からのものが多く、経歴不問や年齢不問といった内容の求人が大半を占めています。
勤務地も広いことが多くて近場で仕事を探しやすいメリットもあるでしょう。
ただ、今までの経験を生かしてキャリアアップしたいという場合にはあまり魅力的ではない可能性があります。
このようなサイトでもしばしばキャリアアップできるスカウトも届きますが、膨大なメールの中に埋もれてしまうことがあるので注意しなければなりません。
専門分野の転職サイトの場合
特定の専門分野に特化した転職サイトの場合には経歴の良し悪しと専門分野での求人の動向によってかなりスカウトの頻度に違いがあります。
自動配信のスカウトメールがシステムとして取り入れられていることはあまりなく、一人一人の経歴をエージェントが確認して企業に紹介しているのが通例です。
その場合には企業からの直接オファーにはならず、エージェントを介した紹介になります。
求人を探している分野で人材募集が積極的に行われている場合には企業側も人材獲得のために積極的に人材の経歴を確認してオファーをかけているため、スカウトを受けられる可能性が高くなるでしょう。
しかし、ある程度人材が足りている業界の場合には特に優れた経歴を持っている人しかほとんどスカウトを受けられないのが一般的です。
ハイクラス向けの転職サイトの場合
ハイクラス向けの転職サイトではスカウトシステムが積極的に運用されています。
ヘッドハンターが自由に経歴を閲覧してスカウトできる仕組みになっていることが多く、企業よりもヘッドハンターからのオファーを受けることが多いのが特徴です。
自分の専門的な能力や分野に強いヘッドハンターから声をかけられる確率が高いのが魅力でしょう。
たとえ最初に提示された求人に納得できない部分があっても、話を聞いてみればもっと魅力的な求人でスカウトしてもらえる可能性があります。
基本的には目立つほどのキャリアがある人でないとスカウトを受けられないですが、単純に業界経験が長いだけでもスカウトされることがあるので積極的に活用してみましょう。
転職の方針を決めてから登録先を決めよう
このように転職サイトの種類によってスカウトを受けられるかどうか、スカウトの内容がどうかといった点にはかなりの違いがあります。
あくまで全体的な傾向なので一概には言えない部分もありますが、どのようなタイプの求人を探したいのかを最初に決めてからスカウト募集をかけるサイトを決めるのが賢明です。
転職の方針に合っていないスカウトばかり来てしまう転職サイトで募集をかけてしまうと、オファーを辞退するだけでも手間がかかってしまいがちだからです。
ただし、辞退することが苦にならない人は違うタイプの転職サイトにいくつか登録して広くオファーを受けてみるのも良い考え方でしょう。
スカウトを活用して理想的な転職をしよう
スカウトは転職サイトに履歴書や職務経歴書を登録するだけで簡単に募集することができます。
求人が公開されていない企業からのオファーを受けたり、自分の得意としている分野に強いヘッドハンターとの出会いの機会になったりするので積極的に活用しましょう。
一般的にはスカウトを使って応募すれば採用される確率も高く、待遇も良い可能性が高いのが魅力です。
経歴から判断して自分を人材として採用したいと考えている人や企業からのオファーだからです。
アピールポイントを押さえて的確に伝えられればさらに人材として魅力的だと思ってもらえるようになります。
そして、それを盾にとって交渉すれば待遇もさらに良くなる可能性もあるでしょう。
転職の方針を決めたら自分で求人を探すのと並行してスカウトも広く募集するとより転職の成功率が高まると期待できるのです。